闊達行雲の日記&レビュー

イラスト、小説、ゲームを作っています。

【ネタバレあり】真女神転生5レビュー

 

メガテン5をクリアしましたので、レビューしたいと思います。
ひさびさの据え置き機でのメガテンでしたが、ボリューム、内容共に真女神転生3の正統進化といっていい良質なRPGでした。
以下、ネタバレを含みますが、自分的に面白かったポイントを中心にあげていきたいと思います。

シリーズ初のオープンワールドに挑戦

最初画面を見たとき、主人公がアオガミと融合してナホビノになった姿が「KOS-MOSじゃん」とwゼノサーガ2ぐらいの、KOS-MOSとダブって見えたのですね。ゼノサーガモノリスソフトがPS2で発売した、3部作のRPGを指します。でオープンワールドだからゼノシリーズの展開にインスパイアされたのかなと思いました。
OPは学園の会話から始まる「メガテンif・・・」のような展開で、相変わらず現実の社会とRPGの世界が融合するような展開はうまいなと思わされます。シリーズ伝統の悪魔召喚プログラムも登場し、サイバーな世界と悪魔という古来からある宗教的な象徴とが混在する、メガテン特有のハイブリッドな世界観が現出されていきます。本作の18年前に当たる東京受胎において、実は東京はすでに滅んでいて、今ある東京は、実際は神によって作りだされたかりそめの世界。本当の東京はとっくの昔に荒廃しており、ダアトと呼ばれる悪魔が跋扈する世界になっている。そこをさまざまな組織と関わり仲魔たちを引き連れながら、攻略し、この世の真実を目指して進んでいく・・・。だいたいのストーリーはそういう骨組みを持っています。
作品的には、先述のようにオープンワールドに初挑戦した作品で、高低差における宝箱の設置や、後半に登場する魔王城などにあるギミックも、それを活かした作風になっています。またミマンの捜索などフィールドの探索要素がたくさんはいっており、やり応えがあります。マップがわかりにくいというレビューがありましたが、まああんなものなのじゃないでしょうか。
アトラスの看板タイトルで開発にも長く時間がかかっていますがそれを反映したチャレンジングなフィールド構成になっているなと思います。今風というか、メガテンは歴史的に「3Dダンジョン」からはじまり、PS2メガテン3やアバタールチューナーでは見下ろし型の視点になりましたが、今作でオープンワールド化することによって、今風にアップデートされた感じがします。
遙か空を飛翔するモンスターなどなかなか出会えないものもいたり、大きく道を塞ぐ、高レベルモンスターの存在などはゼノブレイドを彷彿とさせましたが、合体によってそれらの悪魔も作り出せるようになるのがメガテンのおもしろいところです。
仲魔の種類も多く、「アギ・ブフ・ジオ・ザン・万能・ムド・ハマ系」の魔法によって絶命するときの演出も一つ一つ異なっており、作り込みは群を抜いていると思います。フィールドの構成と悪魔たちの作り込みに豊富なリソースを傾けて作っていることがうかがえます。

各登場人物、ボスなどの会話はあっさりだけど不満はない

これもレビューなどでいわれていましたが、各登場人物の主張や会話内容があっさりしているという感じのものが多く見られました。しかしながら真3を基準というか、メガテンはそういう過酷な世界での生き延びるための仲魔との交渉や戦闘に重きを置いた作風なので、自分はあまり不満や不足を感じませんでした。ペルソナと比較すると、あっさりした印象には見えますね。ただそれも「目指しているもの」がどこにあるのかという、シリーズの伝統みたいなものをふまえておくとそこまで不足は感じないと思います。みんなペルソナと比較しているのかな?まあどうだかわかりませんが。
しかし各陣営の主張やルート分岐する際の描写はしっかりしていて主張がわかりやすかったです。そういうメガテンの雰囲気を大事にしたい人たちにとっては、会話内容はあっさりで緊張感のあるバトルや仲魔との交渉に重きを置く方向を重視している。なので説明しすぎなのは逆に雰囲気にそぐわないと批判の対象になるかもしれませんよね。真3も会話内容というよりも、緊張感のある妖しげな雰囲気、戦闘やダンジョンの緊迫感などが評価されていると思いますし、実際そういうゲーム内容だったと思います。

各陣営の印象

ロウ、ニュートラル、カオスの分岐もシリーズの伝統として健在ですが、今回は旧来の神の秩序を守る(ロウ)、多神教八百万の神)を中心とした多様な神の統治する世界にする(カオス)、秩序を決める王の座を破壊する(隠しルートあり=ニュートラル)の3つで、どちらかというと前作の真4Fにあったような、ロウ、カオス、ニュートラルとは異なっています。またメガテン3とも異なる内容です。この辺は、物語の背景や、各陣営の思惑が、それぞれの世界で当然違ってくるので、中身的にも違うのかなと思いました。前作のような破滅的なものはなく、みんなベテル(ダアトにおいて悪魔と戦うために神によって組織された集まり)出身だからか、一神教による統治か、多神教による統治かによって、ロウとカオス(攻略本では「維持」と「変革」という表現になっている。ニュートラルは「人間」)に分岐する感じで、各陣営の趣が、どちらかといとシリーズ伝統の表現でいうとロウ寄りになっているように感じました。

魔王城はやり応えがあった

後半の入り口で攻略する魔王城ですが、X(Twitter)のほうでも述べましたが、攻略に4~5時間ほど要する多様な仕掛けが存在するギミックがあり、3D空間を遺憾なく発揮したダンジョンで攻略のし甲斐がありました。扇風機のような巨大なギミックによって風に飛ばされて進んでいく内容ですが、間違ったところにいくと、強力なザコ敵に囲まれて全滅したり、せっかく進んだのに入口方面に戻されてしまうという複雑怪奇なダンジョンで、ゲーム内では一番と言っていい出来のよいダンジョンです。
後半の万古の神殿にも時間停止のギミックが出てきますが、こちらも高レベルのザコ敵が頻出し、行く手をいろんな形で妨げてくるおもしろいダンジョンでしたが、やはり魔王城が一番かなと思います。自分もRPGを作っているのでダンジョンのギミックはいろいろと考える方ですが、こういうダンジョンを作れるというのは、さすがだなあ~と感心させられました。

 

攻略本、DLCを購入(シヴァ戦用)

まず攻略本と、購入したDLC(御魂で経験値・マッカを稼ぐDLC)について感想を述べます。
攻略本は設定資料とプレイした経験を振り返りたくて購入しました。攻略する分においては各攻略サイトをめぐるだけで、ほぼ事足りますが、主人公の育成方法を「力主体」にせよと書いてあったり、ラスボスより強力なシヴァの行動パターンが詳細に書いてあること、そしてルート分岐の詳細な条件が明確に書いてあることなどが見所です。またマガツヒスキルを使用して高ダメージを与えるのに、有用なスキルを解説しているところはためになりました。サブクエの内容や場所など、攻略サイトの方が拡大した地図を使用してわかりやすいものもありましたが、DLCである人修羅の攻略方法ものっており、内容的には値段相応の内容の攻略本かと思います。
次にDLCについて。目的はラスボスよりも強力なシヴァ戦のためです。
後半、万古の神殿まで進めた後、セーブデータを作って、99まであげるのに「経験値とマッカ稼ぎのもの」を購入しました。
というのも万古の神殿でレベル上げをしようと思った場合、最高レベルがシュウの87なのですが、それ以上の敵が雑魚レベルで存在しないため、レベル上げにはDLCを購入した方が手っ取り早いと思ったのですね。そこで万古の神殿でメタトロンを倒した後、DLCを購入してレベル上げをし、パーティも強化しました。効果はてきめんで、ものの一時間ほどで主人公はレベル99に到達し、お供の仲魔たちも最高レベルまで難なくもっていくことができました。
恥ずかしながら、主人公のスキルを「魔」のステータス中心に育てていたのですが、写せ身で「スキル継承」をできることを思いつかず、アギ、ブフなどを初期スキルのまま使い倒していたのでした😂ブフダインとかにできるのに全然してなかった。気づいたのは、後半もクリア目前になってからで、いままで主人公の攻撃力なんだか弱いなあと思いつつも、味方の仲魔の攻撃主体でなんとか終盤まできていたという感じだったのですね。
そりゃボス強くて苦労するなあという感じですよね。恥ずかしいw
そしてシヴァ戦に入っていきます。
さすがに強力で、攻略本では2周目に戦うほうがよいと書いてありますが、強いです。しかし動画では1周目HARDで攻略する猛者もいるので、自分もがんばろうと思い、色々と試行錯誤しながら倒しました。
ポイントはジークフリートを仲魔にいれて物理吸収で相手のプレスターンを潰すことですね。お供を残しておくと、物理でけっこう攻撃してくるので、そこを吸収してやれば、シヴァの連続攻撃も防ぐことが出来、防御面が安定してきます。で、あとは弱点属性をアイスエイジなどでついていけば、最後は割と労せず、倒すことができました。
ちなみに攻略本では「力主体」の育成を進めていますが、「魔主体」で育成しても十分クリアできますし、シヴァも倒せます。「力主体」にするのは、全体的にボス中心に物理属性に耐性のないものが多いのと、「天剣叢雲」というスキルが力依存のためですが、アイスエイジでも防御相性を貫通して大ダメージを与えることが可能だからです。

総評(まとめ)

女神転生3を射程に捉えながら、据え置き機において正統進化した良作であるという評価です。
個人的には真4F(真女神転生4FINAL)が好きで3DSで発売された作品なので、据え置き機でメガテン4とあわせてリメイクしてほしいのですが、今回はメガテン3を原点としてそこに学園風の装いを身にまといながら、「ロウ、ニュートラル、カオス」の各陣営の思惑や目指す理想の世界を描いていきました。
各陣営の目指す世界についての説明はムービーを使って丁寧に描いており、ダアトの終末感漂う緊迫した妖しげな世界観は唯一無二で、合体・仲魔の種類・モデリングも豊富で時間をかけて丁寧に作った作品だと感じます。フィールドの高低差やいける範囲にちりばめられた宝箱やイツヅカ・ミマンなど、自分的にクリアまでいっても取り切れてないものもたくさん存在しますが、そのくらい作り込む労力は相当なものだっただろうなと予想されます。
個人的には3Dダンジョンが恋しくもあり、世界樹の迷宮にはありますが、あの路線のメガテンも遊んでみたいという願望もあるのですが、このオープンワールドのフィールド構築は今後もRPGのトレンドにしたがって、続いていくような気がしています。
果たして次の6はどのような方向に向かうのか。「人間よ、智慧を得た魂を持つ人間よ。悪魔はお前たちを狙っている。そのことを忘れるな」というゲーム冒頭のセリフがありますが、印象的です。悪魔召喚プログラムを身につけ、崩壊した世界の真実に向かう中で獲得されていく智慧ありさまは、現実を生きる私たちの体験の中で、必ず生きてくるに違いないと思います。
ペルソナや世界樹、そして新しい「メタファー:リファンタジオ」という一連の作品群も、このメガテンシリーズがなかったら生まれなかった。そう考えると、この作品が持つ可能性や射程は、極めて大きいものがあると感じます。
今回はネタバレを含めて、プレイ直後のほやほやの感想が書きたくて筆をとりました。この文章を機会にして、シリーズをより楽しんでいただければと思っております。